目次

交通事故後の通院先|整形外科と整骨院の違いとは

整形外科(病院)でできること

整形外科は、医師(医学の国家資格を持つ専門家)が診療を行う医療機関です。


  • 診断・検査: X線(レントゲン)、MRI(磁気共鳴画像)、CT(コンピューター断層撮影)などの画像検査で骨折・靱帯損傷・神経の圧迫などを客観的に確認できます

  • 診断書の発行: 診断書は医師のみが作成可能です。人身事故としての手続や、保険会社への対応で必要になることが多い書類です。

  • 後遺障害診断書の作成: 後遺障害等級の認定申請に必要な書類を作成できるのは医師だけです

  • 薬の処方・リハビリ: 痛み止め等の処方のほか、理学療法士(PT)等によるリハビリを受けられる場合もあります。

整骨院・接骨院でできること

整骨院・接骨院は、柔道整復師(国家資格)が施術を行う施設です。病院ではないため、一般に「治療」ではなく「施術」と表現します。


  • 手技療法・マッサージ: 筋肉のこりや緊張をほぐす施術。むちうち(頸椎捻挫)や打撲の回復に効果的とされています。

  • 物理療法: 電気刺激・超音波・温熱などを使った施術

  • テーピング・固定: 捻挫や打撲部位の固定処置

ただし、柔道整復師は診断書を発行できません。X線・MRIなどの画像検査も行えません。こうした医学的な記録(根拠)を残せるかどうかが、慰謝料や後遺障害等級認定にも影響します。


【一覧表】整形外科 vs 整骨院の違いまとめ

比較項目

整形外科(病院)

整骨院・接骨院

施術者の資格

医師

柔道整復師

診断書の発行

可能

不可

画像検査(X線・MRI等)

可能

不可

後遺障害診断書の作成

可能

不可

健康保険の適用

幅広く適用

適用範囲が限定的

慰謝料計算への影響

通院日数として算定されやすい

医師の同意がない場合は、争いとなり不利になることがある

後遺障害認定への影響

診断・検査結果が医学的根拠となる

施術証明書に記載されている内容については、補助的な事情にとどまることが多い


交通事故後はまず整形外科に行くべき3つの理由

①診断書が取得できる(人身事故への切り替えに必須)

物損事故として処理されていた場合でも、けがが確認されれば「人身事故」に切り替えられることがあります。切り替えの手続では、警察への届出に加え、原則として医師が作成した診断書の提出を求められます。


整骨院・接骨院では診断書を発行できないため、最初から整骨院のみの通院だと、必要書類が揃わず手続が進みにくくなるおそれがあります。詳しくは以下の記事も参考にしてください。


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②後遺障害認定の根拠となる検査・記録が残せる

後遺障害等級(1〜14級)の認定では、医師の診断に基づく継続的な診療記録や、症状に応じた画像検査等の客観的な資料が重視されます。


整骨院の施術記録が一切無意味というわけではありませんが、医師の診断・検査記録に比べると、認定の直接的な根拠としては評価されにくい傾向があります。


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③健康保険・自賠責保険の適用がスムーズ

整形外科での治療は、診断・処方・リハビリ等が医師の管理下で行われるため、保険会社への説明や書類対応が整理しやすい面があります。


また健康保険を使う場合でも、交通事故であることを前提に手続(例:第三者行為)を進めつつ、医師の指示に沿って受診していれば、治療の必要性が説明しやすくなります。


整骨院に通いたい場合の正しい手順と注意点

必ず整形外科を受診してから整骨院へ

整形外科を受診せず、整骨院・接骨院のみに通っていると、次のような不利益が生じるおそれがあります。

  • 保険会社から、整骨院の施術費について支払いの対象外(または一部のみ)と判断され、通院期間に応じた慰謝料が認められないことがある

  • 後遺障害申請の場面で、医師の診断・検査・診療経過の記録が乏しくなり、認定が困難となる

  • 物損扱いから人身扱いへの手続で、医師の診断書が必要となることが多く、対応が遅れたり手続きが進まないことがある



以下の記事でも、整骨院のみの通院をリスクとして挙げています。


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医師の同意(指示)を得ることが重要な理由

整形外科の担当医に「整骨院での施術(リハビリ)も併用したい」と相談し、医師の同意(指示)を得たうえで通院するのが安心です。医師の同意による併用通院であれば、保険会社に対しても「施術の必要性・相当性」を説明しやすく、整骨院の施術費が支払い対象として認められやすくなる傾向があります。


整骨院の施術は「慰謝料の通院日数」に含まれるか?

医師の同意(指示)がある整骨院通院は、慰謝料算定上の「通院」として扱われる場合が多いです。もっとも、支払いの可否や評価は事案・保険会社の運用によって差が出ることもあるため、併用を始める前に確認しておくと安心です。自賠責保険の慰謝料計算の基本は「1日あたり4,300円×(実通院日数×2 または 治療期間のうち少ない方)」です。むちうちの症状と慰謝料の記事も参考にしてください。


整形外科と整骨院を「併用通院」する場合の注意点

病院と整骨院それぞれを併用して通院する場合は、以下の点に注意してご通院ください。弁護士に相談して意見をもらうのもよいでしょう。

⚠️ 保険会社への事前連絡: 併用通院を始める前に保険会社担当者へ伝える(トラブル予防)

⚠️ 整形外科での定期受診は継続する: 症状の確認・記録の更新のため一定頻度で継続することが重要

⚠️ 通院記録を自分でも管理する: 通院日・施術内容のメモを手元にも残しておく


交通事故後の病院・整骨院選びで確認すべきポイント

交通事故の治療実績があるか

むちうち・打撲などは、スポーツ外傷や日常のけがとは違い、保険対応や書類、経過の記録まで含めた対応が重要になります。ホームページや口コミで「交通事故対応」「むちうち対応」などの記載があるか確認し、可能なら事前に問い合わせておくと安心です。


保険会社との対応に慣れているか

治療費は基本的に加害者側の保険会社が負担します。書類のやり取りや請求手続きに慣れていない整骨院では、費用の支払いが滞るケースもあります。受診前に電話で確認しておくのが安心です。


通いやすい場所にあるか(通院回数が慰謝料に影響)

慰謝料は通院日数・通院期間が考慮されるため、痛み等の症状が続いてるにもかかわらず、通院が途切れると、治療面でも賠償請求面でも不利に働くことがあります。自宅・職場からの距離、診療時間、予約の取りやすさなど、継続して通える条件を重視しましょう。


診断書をすぐに発行してもらえるか

人身事故への切り替えには時間的な制約があります。病院への初診時に「診断書の発行はすぐにお願いできますか?」と確認しておきましょう。


健康保険は交通事故の治療に使える?

使える場合・使えない場合の整理

ケース

健康保険の使用

加害者の保険会社が治療費を直接支払う場合

基本的に不要(保険会社が全額負担)

加害者が無保険・任意保険未加入の場合

健康保険を使って自己負担を抑えることが現実的

自分の過失割合が高く一部自己負担が発生する場合

健康保険で自己負担を軽減できるため使うべき

保険会社との交渉が長引き、治療費の支払いが滞っている場合

健康保険で立て替えて後から請求する選択肢もある


第三者行為による傷病届の提出が必要

交通事故で健康保険を使う場合、原則として、加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合・国保など)へ「第三者行為による傷病届」を提出します。届出がないと、後日手続を求められたり、給付関係で確認が入ったりすることがあります。まずは保険者(健康保険の窓口)へ連絡し、必要書類と提出方法を確認しましょう。


健康保険を使うメリット

健康保険を使うと、窓口での自己負担が原則として1〜3割(年齢・所得等により異なります)に抑えられます。加害者側保険会社の対応が遅れたり、示談交渉が長引いたりして治療費の支払いが不安定な場面でも、自己負担を抑えながら通院を継続しやすい点が大きなメリットです。


また、いったん健康保険で受診しておくことで、治療を中断せずに済み、結果として症状固定までの経過や通院実績も整理しやすくなります。


通院をやめてしまうと慰謝料に影響する?

通院日数・期間が慰謝料計算の基礎になる仕組み

入通院慰謝料は、一般に治療期間や実通院日数が考慮されるため、症状が残っているのに通院を中断してしまうと、治療の必要性を疑われたり、そのことにより慰謝料金額が下がる可能性があります。痛みやしびれ等が続く場合は、自己判断でやめず、医師と相談しながら適切な頻度で通院を続けることが重要です。


保険会社から治療打ち切りを打診された場合の対処

事故から一定期間(目安として3〜6か月程度)経つと、保険会社から治療費対応の終了(いわゆる打ち切り)を打診されることがあります。


ただし、症状や治療の必要性が残っている場合、提案どおりに直ちに応じなければならないとは限りません。まずは次の順で対応しましょう。


  1. 担当医に症状の継続を伝え、治療継続に関する医師の見解を確認する

  2. 保険会社の担当者に医師の見解と現状(痛み・痺れ、生活への支障等)を伝える

  3. それでも一方的に打ち切られそうな場合は、弁護士等の専門家に相談し、今後の治療費や慰謝料の見通しも含めて方針を整理する

詳しくは、以下の記事もご参考ください。


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よくある質問(FAQ)

Q:整骨院だけに通っていると慰謝料はもらえませんか?

A:慰謝料がゼロ可能性は低いですが、医師の同意なしに整骨院のみに通院していた場合、施術費が否認されたり通院日数としてカウントされないケースがあります。また後遺障害が残存し、後遺障害申請をしたい場合に必要な診断書が取得できてないと申請自体できないことになるため、まず整形外科を受診することをおすすめします。

Q:事故から日数が空いてしまったが今から受診できますか?

A:受診自体は可能です。ただし、事故から時間が空くほど、保険会社から「事故と症状の因果関係」を争われやすくなる傾向があります。受診時には、事故状況や症状が出た時期(いつから、どんな痛み・しびれか)を医師に正確に伝え、診療録(カルテ)に経過として記録してもらうことが重要です。

Q:痛みがなくても病院に行ったほうがいいですか?

可能であれば早めの受診をおすすめします。

むちうち等は、事故当日ではなく翌日〜数日後に症状が出ることもあります。受診が遅れると、後から症状が出た際に事故との因果関係を説明しにくくなる場合があるため、念のため整形外科で状態確認をしておくと安心です。

Q:整骨院の施術費は加害者側の保険から出ますか?

A:整形外科を受診したうえで、医師の同意(指示)を得て併用通院している場合、支払い対象として認められることが多いです。


まとめ|迷ったらまず整形外科、並行して整骨院を検討

ポイント

内容

最初にどこへ行くか

整形外科(病院)を最優先で受診する

診断書の取得

人身事故への切り替えに必須。医師のみ発行可能

整骨院への通院

整形外科受診・医師の同意・保険会社への連絡が前提

整骨院との併用通院

可能だが事前に保険会社へ通知し、整形外科の定期受診も必ず継続する

健康保険の活用

使用可能。第三者行為による傷病届の提出が必要

通院継続の重要性

通院日数・期間が慰謝料額に直結するため、症状がある間は医師とも相談の上で通院を継続する

保険会社からの治療打ち切りの打診

症状が残っている場合は急がず専門家に相談する

症状が長引いている、後遺症が残るかもしれないと感じている、保険会社との交渉に不安があるという場合は、弁護士に相談するタイミングを逃さないようにしてください。早い段階で専門家のサポートを受けることで、方針が整理でき、適切な補償を受けられる可能性が高まります。