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生活道路の法定速度が2026年9月1日から30km/hに変更


これまでとどう変わったのか


これまで、一般道路で最高速度の標識がない場合、自動車の法定速度は原則として60km/hでした。

今回の改正では、中央線や車両通行帯がない道路、いわゆる生活道路については、法定速度が30km/hとなります。

新(令和8年9月1日施行)

旧

(最高速度)

第十一条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。第一号イ及び第二十七条において同じ。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路(以下この条及び次条において「一般道路」という。)を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては次の各号に掲げる一般道路の区分に応じ当該各号に定める速度、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。

一 次に掲げる一般道路 六十キロメートル毎時

イ 高速自動車国道のうち、本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外のもの

ロ 自動車専用道路

ハ 道路標識等による中央線又は車両通行帯が設けられている一般道路

ニ 道路の構造上又は柵その他の内閣府令で定める工作物により自動車の通行が往復の方向別に分離されている一般道路

二 前号に掲げる一般道路以外の一般道路 三十キロメートル毎時

(最高速度)

第十一条 法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車が高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項及び第二十七条において同じ。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。

※出典:e-GOV法令検索|道路交通法施行令


背景にあるのは、生活道路は歩道と車道の区別がない場合が多く、歩行者や自転車の通行もあり、さらに住宅や学校、公園が近くにあることも少なくありません。従来の60km/hという上限が、実際の道路環境に合っていないという指摘がありました。


標識がなくても30km/hが適用されます


標識がなくても生活道路においては30km/hが制限速度となります。

これまでは「標識がなければ60km/hまで出せる」という理解が一般的でした。改正後は、条件を満たす道路であれば、標識がなくても30km/hを超えた時点で速度違反となります。

つまり、道路そのものは何も変わっていないのに、そこを走るときのルールだけが変わったということです。見慣れた道ほど、これまでの感覚のまま走ってしまいやすいので注意が必要です。


自分が走る道は「生活道路」にあたるのか


30km/hになる道路の見分け方


法定速度が30km/hになるのは、主に地域の人が日常生活で使うような、中央線や車両通行帯がない道路です。


判断の手がかりは、道路の真ん中に線が引かれているかどうかです。センターラインがなく、対向車とすれ違うときに少し気を使うような幅の道であれば、生活道路にあたる可能性が高いです。

住宅街の道、通学路として使われている道、商店街の裏を通る細い道などが、これにあたります。


引き続き60km/hのままの道路


すべての道路が30km/hになるわけではありません。次のような道路の法定速度は、これまでどおり60km/hです。


  • 道路標識や道路標示によって中央線または車両通行帯が設けられている一般道路

  • 中央分離帯や柵などの工作物によって、対向方向の通行が分けられている一般道路

  • 高速道路のうち、本線車道並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外のもの

  • 自動車専用道路


判断基準の一つとして、中央線があるかどうかが目安になります。


標識がある道路は、標識の速度が優先されます


法定速度とは、標識や標示による指定がない場合に適用される速度のことです。標識で最高速度が示されている道路では、法定速度ではなく、その標識の速度が上限になります。


たとえば、中央線がない生活道路でも、40km/hの標識が立っていれば、その道の最高速度は40km/hです。逆に、中央線がある道路に30km/hの標識が立っていれば、上限は30km/hになります。


「生活道路はすべて30km/h」と覚えてしまうと、かえって間違えることがありますので注意してください。


生活道路で速度を超過したときの罰則


反則金と違反点数の目安


生活道路での速度超過も、これまでの速度違反と同じ扱いになります。超過した速度に応じて、反則金と違反点数が科されます。


普通車の場合の目安は、次のとおりです。

  • 20km/h以上25km/h未満の超過:反則金15,000円、違反点数2点

  • 25km/h以上30km/h未満の超過:反則金18,000円、違反点数3点

金額は車種によって異なります。

ここで挙げているのは普通車の場合の目安です。


30km/h以上の超過は一発免停の対象に!

一般道路で30km/h以上の速度超過となった場合、青切符による反則金では処理されません。違反点数は6点となり、一発で免許停止処分の対象になります。


青切符と赤切符の違いについては、自転車の青切符制度を扱った記事でも説明しています。制度の仕組みを確認しておきたい方は、あわせてご覧ください。事故を起こしてしまった場合の加害者としての責任についても、別の記事にまとめています。


あわせて読みたい


速度は、事故が起きたときの過失割合にも影響します


過失割合における「速度超過」の位置づけ


交通事故が起きたとき、当事者それぞれにどれだけの責任があるかを示すのが過失割合です。過失割合は、事故の型ごとの基本的な割合をもとに、個別の事情を加えたり減らしたりして決められます。

このとき加えられる事情のひとつが、速度超過です。速度を超過していた側の過失は、重く見られる方向に修正されることがあります。


どの程度修正されるかは、超過の程度や事故の状況によって変わります。決まった数字があるわけではありません。修正の考え方については、「著しい過失」と「重過失」の違いを解説した記事もあわせてご覧ください。


これまで違反にならなかった速度が、違反になる場合


今回の改正で注意したいのは、同じ速度で走っていても、評価が変わる可能性があるという点です。


たとえば住宅街を50km/hで走っていた場合、改正前は法定速度の範囲内でした。改正後は、同じ50km/hが20km/hの超過として扱われる場合があります。速度そのものは変わっていないのに、違反かどうかの判断が変わります。


過失割合が変われば、受け取れる賠償額にも影響します。提示された過失割合に納得できないときの考え方は、過失割合で不利益を被らないための記事にまとめています。


生活道路で事故に遭った方へ


相手が何km/hで走っていたかは、どう確認するのか


速度が過失割合に影響するとしても、相手が何km/hで走っていたかは、被害者側からは見えにくいものです。手がかりになるのは、事故のあとに残る記録です。

  • 警察が事故直後に作成する実況見分調書

  • 自分や相手の車のドライブレコーダーの記録

  • 付近の防犯カメラの映像


これらは時間が経つと入手が難しくなるものもあります。特に防犯カメラの映像は、一定期間で上書きされてしまうことがあります。気になる点があれば、早めに確認しておくと選択肢が残ります。事故直後にやっておきたいことは、初期対応をまとめた記事でも整理しています。


住宅街での事故が、軽い事故とは限りません


生活道路での事故は、速度が出ていないぶん軽く扱われがちです。しかし、実際には首や腰に痛みが残り、治療が長引くこともあります。


事故の直後は気が張っていて、痛みを感じにくいこともあります。その場では平気だと思っても、あとから症状が出てくる場合があります。少しでも違和感があれば、その日のうちに病院を受診しておいてください。


また、物損事故として処理されたままだと、けがの治療費や慰謝料を請求する手続きが進めにくくなることがあります。人身事故への切り替えについても、早い段階で確認しておくと安心です。



まとめ


2026年9月1日から、生活道路における自動車の法定速度は30km/hになりました。中央線や車両通行帯がない道路が対象で、標識がなくても適用されます。一方、中央線がある道路や自動車専用道路はこれまでどおりで、標識がある道路では標識の速度が優先されます。


速度を超過すれば、反則金や違反点数の対象になります。30km/h以上の超過であれば、刑事手続きに進むこともあります。そして、事故が起きた場合には、速度が過失割合の判断に影響する可能性があります。


このルールはまだ広く知られているとは言えません。あってはならないことですが、ご自身が当事者となってしまった場面でも、知っているかどうかで対応が変わってきます。

生活道路での事故に遭われて、提示された過失割合に納得できない、相手の速度が争いになっている、けがの治療がどうなるか不安だという方は、弊所のLINEからご相談ください。