目次
交通事故の示談とは何か
示談とは
示談(じだん)とは、交通事故によって生じた損害について、被害者と加害者(通常は加害者側の保険会社)が話し合いにより合意し、裁判等の公的機関を利用せずに解決する方法です。
交通事故が起きると、被害者には加害者に対して損害賠償請求権が発生します。
具体的には、以下の支払いを求めることができます。
📝 治療費
📝 慰謝料
📝 休業損害(事故で仕事を休んだことによる収入減)
📝 後遺障害逸失利益 など
これらの金額や支払い条件について双方が合意し、通常は示談書(免責証書)に署名・押印することで最終的な解決となります。
※法律上は合意のみで成立することもありますが、実務では書面を取り交わすことで確定させることが一般的です。
示談以外の解決方法
交通事故の解決方法には、示談のほかに
調停(ちょうてい)
裁判
といった方法もあります。
ただし、調停や裁判は時間や費用がかかるため、任意保険が付いている事故の多くは示談で解決されています。
なお、交通事故の解決手段については、以下の記事でも詳しく解説しております。併せてお読みください。
あわせて読みたい
https://rightplace-lo.com/column/100023
示談はいつから始まるのか
示談交渉が本格的に始まるのは、原則としてケガの治療が終わった後です。治療が継続している段階では、治療費や通院期間、後遺障害の有無などが確定しておらず、損害の全体像が固まらないため、示談金の正確な金額を決めにくいからです。
具体的には、医師から
完治(治癒)
症状固定(これ以上治療を続けても医学的に改善が見込めない状態)
のいずれかと判断されたタイミングで、治療に一区切りがつき、そこから示談交渉(とくに人身部分)が進みやすくなります。
※なお、事故の内容によっては、車の修理費など物損部分だけ先に示談を進めることもあります。
治療中の「示談の提案」には注意
治療中にも、保険会社から「そろそろ示談しま せんか」「治療を終えませんか」といった連絡が来ることがあります。
しかし、治療が終わっていない段階で示談書(免責証書)に署名してしまうと、後から症状が悪化したり、後遺障害が残ったりしても追加請求が難しくなるなどのリスクがあります。
この点については、次の章で詳しく説明します。
あわせて読みたい
https://rightplace-lo.com/column/100032
示談が成立するまでの流れ
交通事故の示談は、一般的に次の4つのステップで進みます。
STEP1
【治療・症状固定まで】
故後は、まずケガの治療に専念します。
多くのケースでは、加害者側の任意保険会社による「一括対応」が行われ、保険会社が治療費を直接医療機関へ支払います。
このとき注意したいのは、保険会社から
治療費の支払いを終了します(打ち切ります)
と連絡が来ることがある点です。
しかし、治療を続けるかどうかを判断するのは医師及び被害者本人であり、保険会社ではありません。
医師が治療の継続を必要と判断している場合は、自己判断で治療をやめる必要はありません。対応に迷ったら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
STEP2
【後遺障害等級の申請(該当する場合)】
症状固定後も痛みやしびれなどの後遺症が残っている場合は、
後遺障害等級認定の申請を行います。
認定された等級によって、
後遺障害慰謝料
逸失利益(将来の収入減)
の金額が大きく変わります。
示談は、この等級認定の結果が出てから始めるのが原則です。
認定前に示談に応じてしまうと、後 から追加請求ができなくなる可能性もあるため認定前の示談の仕方には注意が必要です。
後遺障害の申請方法と流れについては以下の記事もご参考にされてください。
あわせて読みたい
https://rightplace-lo.com/column/100049
STEP3
【損害額の算定と示談交渉】
治療が終了し、治療費・慰謝料・休業損害・後遺障害の補償額など、すべての損害が確定すると、加害者側の保険会社から示談案が提示されます。
金額や条件に納得できない場合は、交渉が続きます。
なお、過失割合については事故直後から争われることもありますが、示談の最終段階で確定するのが一般的です。
あわせて読みたい
https://rightplace-lo.com/column/100026
STEP4
【示談書 への署名・賠償金の受け取り】
双方が示談内容に合意すると、示談書(免責証書)が送付されます。内容を十分に確認したうえで署名・押印し返送すると、示談が成立します。
示談成立後は、通常1〜2週間程度で賠償金が振り込まれます。
あわせて読みたい
https://rightplace-lo.com/column/100016
示談にかかる期間の目安
ケガな し(物損のみ)の場合
車の修理代など物の損害だけで、身体のケガがない物損事故の場合は比較的早く解決します。目安は数週間〜数ヶ月程度です。損害の範囲が明確で、過失割合の争いがなければスムーズに進みやすいです。
ケガあり(人身事故)の場合
ケガを伴う人身事故では、治療費・通院期間・休業損害などが確定する必要があるため、人身部分の示談交渉は治療終了(完治または症状固定)後に本格化するのが一般的です。
打撲やむちうちなどの比較的軽傷であれば、事故発生から示談成立までおおむね半年から1年程度が目安となります。骨折などで治療が長引く場合は、1年以上かかることもあります。
※示談までの期間は、治療期間の長さだけでなく、過失割合の争いの有無など争点がどの程度あるのかによっても変わります。
後遺障害が残った場合
後遺障害等級の申請・認定手続きが加わるため、さらに時間がかかります。事故発生から示談成立まで1年以上になるケースも珍しくありません。等級の認定結果に納得がいかず、異議申立てを行う場合は、さらに長期化することがあります。
早期示談のリスク
保険会社が早く示談を進めたがる理由
交通事故の示談交渉では、加害者側の保険会社が窓口になることがほとん どです。保険会社は民間企業であり、社内基準に沿って損害額を算定し、早期解決を図る傾向があります。
そのため、治療中の早い段階から示談の案内や、治療終了の打診の連絡が来ることがあります。しかし、繰り返しになりますが、治療中は治療期間(通院日数)や症状の改善状況、後遺障害が残るかどうかなど、損害の全体像がまだ確定していません。
この段階で示談書(免責証書)に署名してしまうと、後から十分な補償を受けられないリスクがあります。
担当者が丁寧に対応してくれることは多い一方で、あくまで被害者の代理人ではないという点は押さえておきましょう。
一度成立した示談は原則やり直せない
示談で最も注意すべきポイントは、「一度示談が成立すると、原則としてやり直しができない」という点です。
💭 示談後に症状が悪化した
💭 後遺障害が残った(残っていた)
💭 後から相場や算定方法を知り、金額が低いと分かった
といった事情があっても、示談書に署名・押印してしまうと、追加請求は難しくなるのが通常です。
だからこそ、焦ってサインする必要はありません。
内容に納得できるまで示談締結は保留し、必要に応じて弁護士に確認してもらうことが大切です。
示談交渉で被害者が損しやすい箇所
慰謝料の計算基準が低い
交通事故の慰謝料の算定には、大きく次の3つの基準があります。
慰謝料算定の計算基準
自賠責基準(最も低い)
任意保険基準(保険会社ごとの内部基準で、一般に非公開)
弁護士基準(裁判基準とも。最も高い水準)
保険会社が最初に提示してくる金額は、自賠責基準または任意保険基準で計算されていることが多いため、相場より低く見えるケースがあります。弁護士が介入すると、弁護士基準(裁判基準)を踏まえた主張・交渉が可能となり、増額の可能性が高まります。
過失割合が不当に高く設定される
過失割合が1割変わるだけで、受け取れる賠償金は大きく変わります。ところが、保険会社から「あなたの過失は〇割です」と言われても、その数字が妥当かどうかを被害者側だけで判断するのは簡単ではありません。



